Story


その背景となる世界は、大戦が50年以上も続く荒廃した世界。
亜細亜連邦共和国と、ヨーロッパ連合という大きな二つのエリアに分かれた世界。
戦争に勝利するも、残ったのは、数々の核のもたらした荒廃。
汚染された地、
荒んでいく人々の心。
何もかもが空しい現実だけだった。

ある日、学会において、提唱された東博士の驚くべき研究結果が波紋を呼ぶ。
彼が唱えたのは他でもない『新造細胞』理論。

新造細胞と称される人間のあらゆる組織を作り出す事のできるものの存在の事実を提唱し、
保健省に援助を依頼するが一瞬のうちに却下され研究の実現は不可能であると思われた。

東博士には重い病をわずらった妻ミドリをどうしても助けたいという強い意思があった。
それに残された手段は新造細胞の実用化しかないのだ。
途方に暮れる東博士の下に軍部の名をちらつかせる男が近づく。
軍部が動く、
という確実な提言の下、東博士の新造細胞の研究は始まった。

東博士には鉄也という息子がいるが、
父への反抗心と正義感から免除されていたに関わらず、戦地へ赴く事を自ら志願。
彼にはルナという幼馴染の婚約者がいた。

愛し合う二人は戦争が終わったら結婚する事を誓い合う。

鉄也が戦地へ向かった頃、東博士は軍が用意した施設にて研究に没頭する。
がその時に事態は急変。
轟音が鳴り響き、巨大な稲妻が実験場の培養液の中に落下。
培養液に保管された新造細胞は瞬く間に結合し、
ついには、新造人間として新たな生命体が生まれてしまった。

新たに生まれた一つの生命体と向かい合った東博士。
その後ろには次々と新たな生命体が生まれていく。
緊急事態と判断した軍部は無差別に新たな生命体へ発砲。

実験場は惨劇の場と化す。

生まれては消されていく生命体の中に、難を逃れ生き残った生命体がいた。
それが後のブライキング・ボス、バラシン、サグレー、アクボーンなる新造人間。
雪山の彼方に王国を築き、ツメロボを従え、
人類に復讐を誓う。

そしてこの惨劇の中に知らされた鉄也の戦死。
訃報に取り乱すミドリに、寡黙を貫く東博士。
棺にすがり悲しみに暮れるルナと彼女を見守る彼女の父、上月博士。

鉄也の遺体の搬送と、この信じがたい事態の発生はほぼ同時に起こる事になる。
必死に新たなる生命体の制圧に動く軍部とただならぬ事態の異様さ、
息子の訃報の反面、
東博士は、奇妙にも冷静さを保っていた。

そしてついには物申さずおのれの息子の遺体を抱え、
新たな生命体、新造人間の生まれた実験場の培養液に浸し、
彼の蘇生をはかったのだ。
生き返った鉄也は人間としてでなく、惨事に生まれた新たな生命体、同じく新造人間として蘇った。

人類への復讐を誓い動き出す新造人間に、
人類はどう立ち向かわなければいけないのか。
父の手によって、運命を背負わされ、新造人間となった鉄也の辿る道とは。

それは人類滅亡への一途か、

否か。